奇矯な投手

 前に少し触れたが、ダルビッシュの成績が引き続き低空飛行を続けている。WHIPは1.46でリーグ40人中34位に低迷しているし、QSは10回でQS%は33位の0.48だ。そしてイニングあたりの投球数であるP/IPは17.2とリーグで4番目に多い。同じアメリカン・リーグにいる日本人先発投手であるYankeesの黒田は、WHIPが9位、QS%が10位、そしてP/IPが30位。どれを見ても一方的な差がついている。
 ダルビッシュの成績悪化をもたらす大きな原因は四球だ。BB/9は5.0でリーグで下から2番目。四球が多いからWHIPも高いしP/IPも多くなる。出塁する割合が高い(対戦相手の出塁率は.342でリーグで7番目に高い)ため失点も増えやすくなるし、球数が多いのでQSの条件を満たすのも難しくなる。投手関連のデータが悪化する大きな要因の一つがこの四球にあることが窺える。
 加えてダルビッシュの場合、BABIPが.305とリーグで8番目に高い。この数字が.3以上ある投手で防御率が4点未満の投手はアメリカン・リーグには存在しないくらいであり、これもダルビッシュの成績悪化の一因になっているようだ。BABIP自体は偶然の要素によって決まる面が強いとされており、その意味でダルビッシュの成績には不運も関係しているのだろうけれど、プロ選手の評価が結果で決まるのは洋の東西を問わない。
 
 とはいえ、彼の成績は悪いものばかりではない。典型的なのがDIPS(FIPかもしれない)で、ダルビッシュは3.87の16位と黒田とほとんど変わらない順位に顔を出している。この数字がいいのは、彼が三振と本塁打の2点に関してだけはリーグでも優秀な存在だからだ。K/9は10.34でリーグ2位、HR/9は0.8でリーグ14位。いずれも黒田より上である。
 本塁打の少なさは対戦相手の長打率にも影響を及ぼしている。ダルビッシュの数字は.377のリーグ11位と黒田(18位)より上。得点との相関が高いOPSもそう悪くはなく、対戦相手のOPSは.719でリーグ19位にとどまっている。この三振と本塁打に関して踏ん張っている点が下支えとなり、彼の防御率をリーグ25位の水準にとどめているのだろう。
 となると、今後は三振と本塁打についての長所を残したまま四球という短所の修正を図ることができれば理想的なんだろう。もちろん言うは易く行うは難し。本人だってそんなことは百も承知だろうし、そうした努力はしているに違いない。正直、球団が彼にあれほど多額の投資をしていなければ、そして彼がNPBのナンバーワン投手などと言われていなければ、現時点でも彼の成績は先発ローテの一角として十分合格点だっただろう。でも期待値を満たすためには、今のままでは不十分。他の長所を消すことなく四球を減らすのが、今や彼にとって至上命題になっていると思われる。
 しかし、そうした「前提条件」を外して見た場合、この投手は奪三振率でも与四球率でもリーグトップクラスという、実にエキセントリックなピッチャーである。そのエキセントリックさを見て楽しむってのが、一番いい見方なのかもしれない。
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