NFL Divisional

 NFLのDivisional Playoff。間違いなくアップセットだったのが1試合、多分アップセットと言ってよさそうなのが1試合あり、順当過ぎる試合も1試合あった。全体としてみればアップセットが多めではあるが、目を見張るほど極端な結果でもない。ただ、それぞれの試合はどれも特徴あふれる興味深い試合だったとは言える。
 
 まず最初のNew Orleans @ San Francisco。Advanced NFL Statsがまとめているこの試合のWin Probability Graph"http://live.advancednflstats.com/index.php?gameid1=2012011401"を見れば分かるように、試合の先行きは最後の局面でものすごく大きく振れた。ここまで極端な試合は滅多に見られないに違いない。アメフト初心者にお勧めの試合を選べといわれたら、私ならこの試合を選ぶ。盛り上がることは確実だ。
 両チームが得点を積み上げまくった結果、Breesは当然としてSmithも素晴らしい成績を(この試合では)たたき出している。ほとんどDilfer並みの成績を続けてきた彼が、この試合だけは突出してよかったことはこちら"http://www.advancednflstats.com/2012/01/alex-smith-sheds-dilfer-name.html"でも指摘済み。多分、彼にとってはキャリアベストゲームの一つになるんだろう。
 それでも私はBreesの方が凄かったと思う。ターンオーバーレシオでマイナス4も食らいながら、あの強力なSan Franciscoディフェンス相手に、一時は逆転するところまでこぎつけたのである。New OrleansのQBがSmithだったらできなかっただろう。逆にSmithの成績は、相手がディフェンス3弱の一角を占めるチームであった点を割り引くべき。もちろんミスを少なくして乗り切った点は十分評価できるし、この後で紹介する(同じく弱いディフェンスを相手にした)某QBよりずっとマシなのは確かだが、これをもってSmithは真のフランチャイズQBになったとまでは判断できないと思う。
 
 次の試合、Denver @ New Englandは予想通りの結果"http://live.advancednflstats.com/index.php?gameid1=2012011400"となった。そもそもDenverのディフェンスは別に強くない。だからBradyの成績は予想通りだろう。問題はTebowの方。海外のTebowmaniaの中には「悪いのはディフェンスでTebowに責任はない」との意見も多いのだが、いやどう考えても彼は戦犯の1人だろう。23回のパス試投で9回しか成功できず、それ以外に5回ものサックを食らっている。ディフェンス3弱その2を相手にしたことを考えるなら、言い訳のきかない酷さだ。
 それにしても海外ファンの間から「生まれて初めてPatriotsを応援した」「これ以上Tebowの名前を見なくてすむかと思うとせいせいする」といった声が出ていたのには笑った。米マスコミの異常なTebow押しを見てうんざりしている人が余程多いのだろう。極東の日本ではそれほど感じられないが、英語サイトを見ているとTebowの持ち上げすぎが目に余る水準まで達していたのは確かだ。
 
 3試合目のHouston @ Baltimore"http://live.advancednflstats.com/index.php?gameid1=2012011500"は、格好良く言えばディフェンス合戦、実態は拙攻合戦。1試合目とは逆にQBの成績は目を覆わんばかりの酷さで、YatesもFlaccoもWPAはマイナス。つまり負けるために多大な貢献をしていた計算になる。もちろん両チームともディフェンスの強さが売り物だし、そういうチームを相手にそれほど実力が頭抜けているわけではない両QBが試合をしたのだからこの結果も当然。DVOAで見た場合、両チームのオフェンスがいずれもマイナスになったのは、Divisional Playoffではこの試合だけだ"http://footballoutsiders.com/dvoa-ratings/2012/week-19-dvoa-ratings"。
 それにしても、もしSchaubが怪我をしていなかったらどうなっていただろう。おそらく攻守いずれも最もバランスが取れたチームとして、もしかしたら第一シードを獲得していたかもしれないし、今残っている4チームのどれよりも高い評価を得ていたことが考えられる。Houstonの初プレイオフはここで終わりを告げたが、返す返すもSchaub抜きでやらざるを得なかったのは残念な話だ。
 
 最後に来たのが本格的アップセット。New York Giants @ Green Bay"http://live.advancednflstats.com/index.php?gameid1=2012011501"だ。まずGiantsオフェンスの成績は不思議ではない。もともと今シーズンのGiantsは、Manningがキャリア最高の成績を収めていることからも分かるように、オフェンスは強かった。おまけに相手はディフェンス3弱その3だ。38点くらいは取れて当たり前とも言える。そこに不思議はないし、アップセットの要因も見当たらない。
 つまり、アップセットをもたらしたのはGreen Bayオフェンスの不振、もしくはGiantsディフェンスの好調のいずれかにある、ってことになる。前の試合でAtlantaオフェンスを完封したGiantsディフェンスがやはり本物だったのか、それともこの試合のGreen Bayオフェンスがドロップやらターンオーバーやらで自滅していっただけなのか。そのあたりの判断がつけにくいところ。おまけに次の試合の相手はオフェンスが今ひとつ信用できないSan Franciscoであり、Giantsディフェンスの実力を測るには適当とは思えない。
 シーズンの成績まで合わせて考えるのならGiantsはそれほど強くないチームだが、直近4試合だけ見れば残ったチームの中で最強とも言われている。シーズン最後までプレイオフ出場を決められなかったもたもたGiantsと、足元で強さを見せつけている強力Giants。いずれが本物の姿なのだろうか。
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