NFL Week17

 NFLは第17週が終わり、レギュラーシーズンが閉幕した。Football OutsidersのDVOA"http://footballoutsiders.com/dvoa-ratings/2012/final-2011-dvoa-ratings"、Pro Football ReferenceのSRS"http://www.pro-football-reference.com/years/2011/"、そしてAdvanced NFL StatsのGWP"http://www.advancednflstats.com/2012/01/end-of-season-team-rankings.html"それぞれの最終ランキングも確定。
 そこでプレイオフに出るチームがリーグ全体でどの程度の位置にあるかをざっと見てみよう。表は左からDVOA、SRS、GWPのリーグ内順位で、括弧内は左がオフェンスの、右がディフェンスの順位だ。
 
GB 01(01,24) 01(01,17) 05(01,29)
SF 06(18,03) 04(11,01) 13(18,07)
NO 03(02,28) 01(02,15) 03(03,22)
NYG 12(07,20) 12(05,23) 06(04,18)
Atl 08(12,06) 10(10,09) 10(12,10)
Det 11(10,09) 05(04,22) 08(13,05)
 
NE 04(03,30) 03(03,17) 07(02,30)
Bal 07(13,01) 05(08,03) 09(15,06)
Hou 05(09,08) 09(12,04) 02(07,01)
Den 24(23,19) 25(25,24) 27(30,17)
Pit 02(06,07) 07(19,02) 01(05,03)
Cin 17(17,17) 18(15,19) 16(14,19)
 
 それぞれ細かい順位の差はあるが、大雑把に言えることもいくつかある。まず今年はNFCの方がAFCよりレベルが高い。NFCの6チームはいずれかのランキングでトップ10に名前を連ねており、それなりに実力のあるチームがそろったと見ていいだろう。一方のAFCではCincinnatiがリーグ中位に、Denverが文句なしの下位に低迷しており、弱いチームがプレイオフに滑り込んでしまったことが分かる。
 オフェンスが強力だがディフェンスがダメすぎるチームがGreen Bay、New Orleans、New Englandなど。少し意外だがNew York Giantsもこのグループに入ってくる。逆にディフェンスが強いもののオフェンスが今ひとつなのがSan Franciscoだ。どちらも凡庸なのがCincinnatiでどちらもダメなのがDenver。これらのチームはプレイオフで勝ちあがるには色々と弱点があると見てよさそうだ。
 オフェンス、ディフェンスいずれもバランスよく優秀なチームとなるとPittsburgh、Baltimore、Houstonといったところが上げられる。全体のレベルはNFCの方が上だが、バランスのいいチームはAFCに集まっている感じ。ただしHoustonはエースQBがいなくなり、Pittsも怪我をしているので、プレイオフでどこまで実力を発揮できるかは不透明だ。
 となるとバランスがよくシード順も高いBaltimoreあたりが案外すっと行く可能性はある。もちろん一発勝負のプレイオフでは何が起きるか分からない。そもそもNFLでは全体の試合のほぼ半分は実力ではなく運で勝負が決まっているとの分析もある"http://www.advancednflstats.com/2007/08/luck-and-nfl-outcomes-3.html"。プレイオフの試合数は計11試合。うち5~6試合は運次第のゲームとなり、となるとその半分2.5~3試合は実力で劣るチームが勝ちあがっても不思議はない訳だ。
 3試合の幸運に恵まれればSuper Bowlまで勝ち進める。つまり、DevnerがSuper Bowlに出る可能性だってないわけじゃない。必ずしも実力通りにならないのがゲームの醍醐味なのだし、ここから先はそうしたギャンブルを楽しむつもりで見る方がいいんだろう。
 
 ついでに、以前2010年分について調べた"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/52686717.html"対戦相手修正済みのNY/AとANY/Aについて、今年の分もまとめてみた。やはりシーズン100試投以上のQB(44人)を対象にリーグ平均と比較したところ、標準偏差はNY/Aが15.3、ANY/Aが24.8となった。一方、対戦相手の加重平均をリーグ平均と比較した標準偏差はNY/Aが4.2、ANY/Aが5.1。対戦相手のばらつきも選手ごとのばらつきも去年よりは大きかったことが分かる。
 プレイオフに出てくるQBたちのデータについて、対戦相手の修正を加えた後の数字を表にすると以下のようになる。左がANY/A、右がNY/Aで括弧内はリーグ内順位だ。
 
Rodgers +52.4%(01) +26.1%(01)
Smith   +7.7%(13) -2.6%(23)
Brees  +33.7%(03) +18.9%(05)
Manning +26.0%(06) +20.0%(04)
Ryan   +10.9%(12) +4.3%(13)
Stafford +12.6%(08) +2.6%(17)
 
Brady  +38.5%(02) +23.3%(03)
Flacco  +3.2%(16) +0.3%(20)
Yates  -15.7%(30) -9.7%(32)
Tebow  -18.0%(33) -24.2%(42)
Roethlis +16.3%(07) +13.3%(07)
Dalton  +3.2%(15) +1.6%(18)
 
 Rodgers、Brady、Breesの3人がまさに3強となっているのは実感通りだろう。ManningやRoethlisbergerは思ったより高位にあるように見えるかもしれないが、Manningにとって今年はおそらくキャリア最高のシーズンだったのでこの順位もそれほど不思議はない。Big Benについては対戦相手の修正が大きかった(NY/Aで4.4%、ANY/Aで6.0%分)ために、見た目の数字より評価は高くなっている。
 StaffordやRyanは逆に対戦相手がかなり緩かったため評価が下がった事例となる。生の数字なら彼らのANY/AはRoethlisbergerより上。しかしBig BenがBaltimoreと2試合、San Francisco及びHoustonと1試合を行ったのに対し、StaffordやRyanはパスディフェンスが崩壊していたTampa BayやCarolina、Minnesotaといったチームと複数の試合をしており、その分だけ楽に成績を稼いでいた。
 ただ、その修正を加えてもなおNFCの方に優秀なQBが多いのは確か。ANY/Aは全員リーグ平均を上回っているし、より予測性能は高いといわれるNY/Aで見ても平均より下のQBはSmithしかいない。一方、AFCではYatesとTebowが酷い成績のうえ、FlaccoとDaltonもNY/Aで見ればほぼリーグ平均並みの実力となる。QBがプレイオフで重要な鍵を握るとしたら、NFCの方が激戦が多くなるだろう。
 中でもTebowの修正後NY/Aは酷い数字であり、彼より悪い数字を出したのはGabbertとHanieしかいない。はっきり言ってDenverを追い出されたOrtonの方が成績は上だ。このチームがプレイオフにたどりついてしまったのはまさしく運に恵まれたからとしか言いようがない。もし実力通りにSan Diegoが上がってきたなら、AFCのチームはRivers(NY/A+12.0%、ANY/A+11.6%)を相手にしなければならなかった訳で、ずっと厳しい展開が待っていただろう。AFCのプレイオフチームはNorvに足を向けて寝られないな。
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