さて、前回ちょっと書いた関東学生アメリカンフットボール連盟のスタッツ分析。2011年分だけではデータが足りない可能性もあるので、少し遡って調べてみた。ただ2008年のチームデータはなぜか発見できず。また2010年のパスに関するデータはいさかか変だったのでそこだけは個人記録のデータを採用している。以下は各年におけるラン1回あたり平均獲得ヤード、及びパス試投1回あたり平均獲得ヤードと得点との相関だ。
2011 .825 .740
2010 .932 .894
2009 .862 .914
2007 .908 .915
2006 .827 .950
ランの相関性が明確にパスより高かったのは、実は2011年のみ。それ以外の年はむしろパスの方が相関性が高い年が多い。必ずしも「ランを確立すれば勝利に近づく」とは言い切れないようだ。また、全体にNFLなどに比べて相関性が高いのはチームの実力差が大きいのが理由であり、日本の大学の方が各種スタッツと試合結果の間に紛れが生じにくいだけである。逆に言えばNFLの方が偶然の要素が大きい。
だとしても、NFLが圧倒的にパスと得点の相関が高いのに比べ、ここではランと得点の相関性もかなり高いことは間違いない(NFLの場合、2010年のラン1回あたり平均獲得ヤードと得点の相関は.243に過ぎない)。どうして両者の間にここまで大きな差が出てくるのだろう。もしかしたらランプレイの効率性がNFLよりも高いことが理由なのだろうか。各年のラン1回あたり平均獲得ヤードと、パス試投1回あたり平均獲得ヤードの数字を以下に示す。
2011 5.41 6.23
2010 5.10 6.79
2009 4.97 6.52
2007 5.17 6.54
2006 5.08 5.85
2010年のNFLのそれぞれの数字を出すなら、ランは4.21、パスは7.00となる。この数字は毎年そんなに大きくは変わらない。せいぜい0.1ヤード程度の違いがあるだけだ。ランで平均5ヤード強、パスではブレが大きいものの平均して6ヤード台前半にとどまる関東学生アメフトが、NFLに比べてランの効率が高くパス効率が低いように見える。
オフェンス面から見れば要するに「日本の大学レベルだとパスの能力が低い」という結論になりそうだが、それだけではランがNFLより効率的な理由の説明にはならない。逆にディフェンス面で見れば「NFLは極端にランに対するディフェンスを重視しているが、日本の大学はランパス両方を(NFLよりは)バランスよく守っている」との理屈を導き出すこともできそうな気がする。
では、「NFLのディフェンスはバランスが悪すぎる。それが証拠に日本の大学を見よ。彼らはランとバスをよりバランスよく守っているから、結果的にパスもランも得点との相関が似たような水準になっている。それに比べてNFLはパスと得点の相関が高いくせにランと得点は関係が薄い。だから最近のNFLはやたらとパス偏重になり、結果として古きよきボールゲームが壊れつつある。NFLのディフェンスコーディネーターたちは深く反省し、もっとパスを重点的に守れ。そうすることでランプレイの地位は再びかつてのようなレベルにまで高まるであろう」…と言ってしまっていいのだろうか。
多分ダメだ。日本の大学でランプレイの効率が高そうに見えるのは、単に同一リーグ内のチーム間格差が大きすぎるのが理由だろう。ランプレイっていうのは下限でも普通はゼロヤード、運が悪くてマイナス数ヤードにとどまるのに対し、上限はプラス数十ヤードまで膨れ上がるのが特徴である。つまり、平均値が上に引っ張られやすい特徴がある。
さて、実力差の大きなチームが同一リーグに所属していたと考えよう。実力のあるチームはロングゲインを連発し、平均獲得ヤードを大きく伸ばす。一方、実力のないチームはスクリメージラインで何度も止められてしまう。しかし、どんなに実力がなくても平均ヤードがマイナスにまで落ち込むことは滅多にない。それに対し、実力があるチームは下手すると平均10ヤード近いゲインを達成してしまう。事実、2011年の記録を見ると最も平均ヤードの大きい明治大が8.85ヤードを記録しているのに対し、最も低い東海大は2.38ヤード。両者の平均は大体5.6ヤードに達するのだ。実力の高いチームによる平均値引き上げ効果が、ダメなチームによる引き下げ効果より大きいことが一目瞭然である。
即ち、関東大学アメフトの平均ラン獲得ヤードが大きいのは、別にディフェンスがパスを中心に守っているからではない。チーム間格差が大きいために生じる数字のマジックに過ぎないのだ。関東大学アメフトがNFLのような勢力均衡策をとっていれば、平均ラン獲得ヤードもNFLの数字に近づく可能性が高い。
とまあ色々と書いてきたが、要するに関東学生アメリカンフットボール連盟においてもランがパスよりも試合の行方に大きな影響を与えるとまでは言えないってのが結論。前回書いたことは残念ながらデータ不足による誤謬だったとみなすべきだろう。ランの方が重要な、ランの確立が勝利への近道になるようなリーグが本当にあるのか、現時点ではまだ不明だ。
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コメント
No title
日本と、日本人の、絶対絶命の、崖っぷちの、この絶望の時代に於いて、属国の、奴隷は、アメリカに、恵んでもらった、球遊びに、興じているとは、
正に、
飼い慣らされた、犬畜生虫ケラ以下でり、たかが世界如きの、笑者である。
こんな者が、日本人とは、最早、死人同然である。
こんなものに、
期待は無い。希望は無い。復活は無い。
しかし、
日本には、奇跡の、武士道がある。大義がある。
ならば、
魂ある、真の日本男児は、その奇跡に、覚醒せよ。
矛の会は、共に行動し、決起も辞さない、同志を、武士を、求める。
2011/12/16 URL 編集
No title
関東大学リーグの上下差わすさまじいですものね。でもそお簡単に1部校数の再編とかわできないみたいです。大人の事情ってゆうか、そおゆうの噂で聞きます。
2011/12/18 URL 編集
No title
大学リーグの格差を見ていると、この夏の世界選手権における各国間の格差を思い浮かべます。できればNFLのようなパス偏重ではなく、なおかつチーム間の実力が拮抗しているリーグの成績を調べてみたいものですが、そういう事例が見つからないのが残念です。
2011/12/19 URL 編集