NFL第14週、を取り上げる前に、NFL以外のアメフトリーグにおいて各スタッツがどの程度得点との相関を持っているのかを調べてみた。具体的には今シーズンのNCAA、つまりカレッジのFootball Bowl Subdivision"
http://www.ncaa.com/sports/football/fbs"に参加している120チームが対象だ。NFLほどではないがレベルの高いリーグであり、おそらくパスと得点との相関が高いだろうと想像はできるんだが、何事も確認は大切。ちなみに今シーズンのボウルゲームはまだ残っているものの、レギュラーシーズンは既に終了している。
まずはランと得点との相関だ。1試合あたりのラン回数、同ラン獲得ヤード、ラン1回あたりの獲得ヤードの3種類と、1試合平均得点との相関を順番に示すと以下のようになる。
0.196
0.472
0.657
アメフト業界でしばしば言われる「ランの確立が勝利への道」なるものがあまり当てにならないことが分かる。まずランの回数を増やしてもそれは得点にはつながらない。両者の間には弱い相関しかないからだ。1試合あたりのヤード数になれば相関性は増すものの、それでも緩やかな相関に過ぎない。ラン1回あたりのヤード数が高い場合、つまり効率のよいランプレイができる場合は得点との相関はさらに増すものの、やはり「緩やか」と呼ばれるレベルでしかないことが分かる。
ではパスプレイはどうか。1試合あたりのパス試投数、同パス獲得ヤード数、1回のパス試投あたりの獲得ヤード数(Y/A)、そしてTD数とインターセプトを組み入れたAY/Aの4種類が対象だ。NCAAはNFLと違ってサックという統計を出していないため、NY/AやANY/Aは算出できない。
0.136
0.523
0.749
0.824
ラン回数と同様、パス試投回数も得点とはほとんど関係がない。ヤード数で見るとランよりはパスの方が相関は高いものの、これも緩やかな相関でしかない。強い相関が見られるのはY/Aであり、それがさらに強まるのがAY/Aだ。つまり、NCAAでもNFL同様、効率のいいパスこそ得点との相関が最も高いってことになる。事前の想像通りだ。
ではもっとレベルの低いリーグ、たとえば日本の関東学生アメリカンフットボール連盟"
http://www.kcfa.jp/"の今年の記録を見てみたらどうだろうか。1部リーグ所属16チームについて、上と同じように相関性を調べてみると以下のようになる(残念ながらパスTDとインターセプトに関するチーム記録がないため、AY/Aは算出できない)。
ラン
0.481
0.830
0.825
パス
-0.117
0.420
0.740
そう、ここまでレベルを下げると、実はランの方がパスより相関性が高くなるのだ。もちろんチーム数が少なく、試合数も少ないために、たまたま今年はこういう結果になった、という可能性はある。それにしても、レベルの低い試合になるとパスよりラン成績で試合が決まる可能性が浮上したのは興味深い。アメフトというスポーツはいついかなる時もパスでゲームの行方が決まる、訳ではないのだ。このレベルになると「ランの確立が勝利への道」という発言も、もしかしたら正しくなるのかもしれない。
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コメント
No title
>勝利への道
>勝利
!?
そもそもお調べになったのわ得点とのR^2相関ですよね?
勝利云々とわまた別のお話だと思いますが…
2011/12/13 URL 編集
No title
いずれにせよ、ついさっき投稿した新しいエントリーを見てもらえば分かるように、関東大学アメフトの世界でも「ランの確立」こそが得点につながるとは言い切れなくなってしまいました。一瞬浮上したように見えた「可能性」は、実は誤謬でしかなかったようです。
2011/12/15 URL 編集