アメフトとラグビー、世界大会

 そういや今、ラグビーのワールドカップ"http://www.rugbyworldcup.com/"が開かれている。同じfootballで、同じ年に世界大会が開かれているという点ではアメフト"http://www.americanfootball2011.com/en/"と似たようなもんだが、内容や国内の反応には違うところも。いくつか思ったことを書いてみたい。
 
 現時点でラグビー日本代表の戦績は0勝3敗。格上のフランス、ニュージーランドに続いて、勝利を狙うといっていたトンガ相手にも敗北した。まあ実際のところ、この成績自体はそんなに予想外ではないようだが、ネットを見て感心したのがファンの間から不満や憤りの声がかなり出ていたことだ。負けたことだけでなく、その内容に至るまで厳しい指摘が出ている。
 で思ったのが、アメフト世界選手権の時の国内の反応。ラグビーファンのように内容まで踏み込んだ厳しい声はほとんどなかった。初戦から見ていてライン戦で負けている状態が非常に気になったんだが、ネットではそういう指摘はあまりなし。敗北したカナダ戦も敗北自体を責める声をあまり見かけなかった。いやまあ、そもそもアメフト世界選手権に言及している人自体が少なかったんだけど。
 おそらく国内にいるファンの母数の差が出ているのだろう。ファンの多いラグビーではそれだけ厳しい声をあげる人も多い。だがアメフトになると母数自体が少ないので、批判の絶対数も減る。今回のラグビーW杯を見て「このままだとマイナースポーツ化が一段と進む」と心配するファンもいるようだが、ずっとマイナーなスポーツ(アメフト)のファンからすると「全然マイナーじゃないだろ」とツッコミを入れたくなるところだ。
 ほとんど実力差通りの結果になるところはアメフトとよく似ている。ラグビー日本代表はこの20年、ずっとW杯で負け続けているが、それも実力通りらしい。アメフトでもグループリーグの試合は大半が一方的で、1TD以内の決着になったのはドイツ対メキシコ、日本対カナダ、ドイツ対フランス、日本対メキシコと16試合中4試合だけ。サッカーなら時に番狂わせもあるが、ラグビーくらい国ごとの実力差があると分かりきった結末になりやすいんだろう。
 しかし何よりアメフト世界選手権とラグビーW杯の最大の差は、それが「世界トップクラスの選手による試合」かどうかだろう。アメフト世界選手権はもちろん違う。NFLどころか米国内のカレッジの試合と比べてもレベルは低いはずだ。一方、ラグビーはトップクラスの選手が出てきて試合をしている。日本の成績は横に置いといても見るべき試合、見るに足る試合というのがたくさんあるだろう。アメフト世界選手権は、決勝戦であっても「絶対見るべき試合」とまでは言えない。
 日本の試合結果に真面目に一喜一憂するファンの数に違いがあるのは、それぞれの大会がもつそういった性格の違いも一因だろう。ラグビーの場合、試合結果はそのまま日本の実力を示す。だからトンガ戦の敗北に本気で怒るファンも増える。一方、アメフトでは世界トップからずっと下の方に離された実力しかない選手が世界選手権で試合をしている。真面目に見ても仕方ない、と思うファンが増えやすい環境だ。
 米国一極集中度合いが極めて高いアメフトに対し、欧州や南半球をあわせて複数の強豪国が存在するラグビー。どちらがより「世界大会」を開くにふさわしいスポーツであるかは一目瞭然である。でもそのラグビーにしても、8ヶ国がW杯で優勝しているサッカーに比べれば、まだ特定の国に強豪が集中している印象は強い。やはりこの手の世界大会に最も向いているスポーツはサッカーなんだろう。
 
 ラグビーW杯の方はまだ続いているが、日本の予選リーグ敗退はもう決定した。現時点で3試合しながら勝ち点0なのは日本のみ。2試合で勝ち点ゼロのグルジア、ルーマニア、ナミビアがそれに次ぐダメチームであるが、グルジアとルーマニアは同じグループにいるので、どちらかは必ず勝ち点を取るはずだ。つまり、現時点で日本は自分たちのいる予選グループだけでなく、大会全体を見てもほぼどん底に近い成績だってことだ。
 ラグビーはどうやら実力が接近すると低得点のディフェンス合戦になり易い一方、実力差があると大量得点につながるスポーツのようだ。それでも大体の実力は得失点差からうかがい知ることができるだろう。1試合平均得失点差を見るとトップはニュージーランドのプラス53.5、2番手は南アフリカのプラス44.7だ。日本は20ヶ国中19位のマイナス38.3。これより下にはナミビア(マイナス49.3)しかいない。数字で見てもやはりどん底に近い成績である。
 8年後にはIRBのオリジナル8以外で開催される初のW杯が日本で開かれる。それまでにはせめてもう1回は勝たないと拙い、というのがファンの考えだろう。サッカーのW杯の時のように「出ないと拙い」状態よりはマシだが、このまま行くと「自国開催で決勝トーナメントに進めなかった最初の国」くらいにはなりそうだ。プロ化を考えている様子のないラグビーだが、さてどう対処するんだろう。
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コメント

No title

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アメフト日本代表のラインについてわ批評しときました。OLについてゎ国内練習見学した際に、若干不安述べといてあります。日本のアメフト界ゎ、是々非々の論評が活発になると競技レベルが上がると思ってます。それが更に充実したレポートぉ産み、それが更に競技レベルの向上ぉ促すでしょう。

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desaixjp
是々非々で論じるのはいいことだと思いますし、それが競技レベルの向上につながってくれるのならばとてもありがたいですね。あと、できることなら4年に1度といわず、もっと国際試合をする機会を増やす手立てがあれはいいように思います。
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