VOA

 Football Outsiders"http://www.footballoutsiders.com/"に今シーズン2試合のVOA記録が載っていた。これまでNew Englandの今シーズンについて個人的な視点から分析してきたが、Football Outsidersのスタッツ分析ではどうなるのだろうか。調べてみると、私の判断とは結構異なっていることが分かる。

 まずオフェンスのVOAは10.7%。リーグ全体では10位であり、第一週時点(19位)からは随分と評価が上がった。要するに第一週の前半が異常に悪く、それ以降は(第二週の後半も含めて)そんなにオフェンスは悪くなかったということだろう。
 何より驚きなのがパスとランに分けて見た場合の結果だ。ランオフェンスのVOAが10.4%、ランキングでリーグ4位なのは不思議ではないが、パスオフェンスのVOA11.4%、リーグ11位にはびっくり。Bradyは絶不調のように見えるが、それでもNew Englandのパスオフェンスはリーグでは上位に位置しているのである。パスオフェンスだけ取るとCarson PalmerのCincinnati(12.2%で10位)とあまり変わらない。
 ではディフェンスはどうだろうか。トータルディフェンスのVOAは4.5%でリーグ22位(ディフェンスはマイナスの方がいい)。2試合連続20点未満に相手を押さえ込んでいるといっても、中身は決して良くないことが分かる。リーグ内の順位も第一週(19位)より低下した。
 ランとパスに分けると課題は明白だ。ランディフェンスは-27.3%でリーグ7位。ところがパスディフェンスは30.1%でリーグ25位となる。昨シーズンのNew Englandのディフェンスを前後半に分けると、ランDVOAが前半の21位から4位に急上昇したのに対し、パスは前後半とも30位。そして、この流れは基本的に今シーズンに入っても変わっていないことが判明する。
 私の感覚ではもうすこしパスディフェンスが向上したと思っていたのだが現実は違った。それでもJets戦における2回のビッグプレイの影響が中心であればまだ見込みはある。ビッグプレイを許さないようにディフェンスを立て直せばいい。しかし正直言ってそうではない可能性が高い。
 VOAは各プレイごとにリーグの平均的なプレイを何%上回ったか(下回ったか)を算出して合計したもの。たとえばJets戦での2回のビッグプレイがそれぞれ平均を100%上回ったとしよう。ただ、これは2試合で行われた57回のパスプレイ(Buffalo戦の23回とJets戦の37回からスパイク&ヘイルメアリーの3回を除いたもの)のうちのたった2回に過ぎない。100%かける2回割る57回は3.5%。パスディフェンスのVOA30.1%が3.5%改善したら26.6%。リーグ全体での順位は……25位のままだ。
 つまり、ほんの2回のビッグプレイのせいではなく、2試合通じてパスディフェンス全体に問題が残っていると考えた方がいい。その証拠が1回しかないインターセプト数に表れている。その1回はヘイルメアリーを奪ったもの。実質はゼロだ。NFLで現在インターセプト0のチームは7つあるが、そのうち5チームのパスディフェンスVOAは下から3分の1の順位に含まれている。ことほどさようにパスディフェンスは向上していないのである。これはやっかいだ。選手を入れ替え、DCも交代したにもかかわらず課題が解決できていないことを意味するからである。
 チームはセーフティの選手を対象にしたワークアウトを実施しているという。パスディフェンスが不十分であることに気づいているのかもしれない。NFLの場合は開幕直後よりプレイオフの時期にどれだけチームの調子を上げられるかが重要なので、その意味ではまだ時間はある。果たしてパスディフェンス再建は進むのか、BelichickとPioliの力が問われる局面だ。
 なおスペシャルチームのVOAは2.3%でリーグ12位(第一週は9位)。トータルVOAは8.4%で14位(同17位)。

 もう一つ、Football Outsidersでは先週末がBelichick一派にとって災難な日々であったことも指摘している。確かにWeisのNotre Dameは思わぬアップセットをくらい、SabanのMiamiはホーム開幕戦でいきなりブーイングを浴びる有様。CrennellのClevelandは予想通りの完敗でファンから「オハイオ州で3番目に強いチーム」などと言われ、ManginiはBelichickに4-3ディフェンスで押さえ込まれた。Belichick本人を除けば確かに不幸な週末だったと言える。Belichick自身もいつ同じ目にあうことやら。

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