さてNFL最終週。プレイオフの動静は固まった。結局、波乱といえるような動きはなし。一瞬Green Bayが危うかったものの、Chicagoのオフェンスの方が酷すぎた"
http://www.footballoutsiders.com/quick-reads/2011/quick-reads-week-17"おかげでどうにか滑り込みに成功。NFC西は予想通りの凡戦だったが、最終的にはSeattleがホームの利を生かしてSt.Louisを振り切った。
Football OutsidersのDVOA"
http://www.footballoutsiders.com/dvoa-ratings/2011/final-2010-dvoa-ratings"ランキングはNew Englandが最後まで首位を維持。特にWeighted DVOAは2位を大きく引き離してのトップだ。ちなみに2位Pittsburghと3位Green Bayとの間もかなり開いている。要するに2強とその他という構図。オフェンストップのNew EnglandとディフェンストップのPittsburghがAFCのChampionshipでぶつかれば、その時には「事実上のSuperbowl」といわれることになるんだろう。
Playoff出場チームの中で最も評価が低いのはもちろんSeattle。地区内でも3番手なのに結果的にPlayoffに滑り込むんだから運がいいのだろう。Carrolを叩き出せなかったのは残念だが、どうせ初戦でNew Orleansにフルボッコされるだけだろうからまあいいか。それにしてもWeighted DVOAで31位のチームが出てくるんだからNew Orleansにとってはボーナスステージ以外の何ものでもないな。Seattleの次に成績が悪いPlayoffチームはKansas City(17位)なので、Seattleの突出ぶりが分かる。
New Englandのディフェンスは最終的に19位だったが、Weighted DVOAで見れば11位とかなり高い位置まで上がってきた。シーズン後半に調子を上げてきたことが数字からも窺える。もっともAFCにはディフェンスの化け物(Weighted DVOAで1位のPitts、3位のBaltimore、5位のJets)が揃っているので、それらと比べれば大したことはない。とりあえず三流ディフェンスがシーズントータルで二流まで上向いてきたことを評価するとしよう。
とはいえシーズン成績がPlayoffで通用しなかった事例は3年前にもあるので油断はできない。特に最終週に圧勝したり、強豪相手に善戦したりしたチームは勢いに乗る可能性があるので要注意だ。もっとも今シーズンについてそういうチームを探して見ると、AFCではNew England、Pittsburgh、Jetsが、NFCではAtlantaが、つまりシード順上位のチームが主に出てくるのであまり波乱はないかもしれない。Green BayがChicago相手に勝った試合を「強豪相手の善戦」と見なせばGreen Bayも取り上げていいかもしれないけど、正直善戦というよりグダグダ感の方が強かった。
他のサイトのランキングはどうなっているだろうか。Football ReferenceのSRS"
http://www.pro-football-reference.com/years/2010/"を見るとこちらもトップはNew England。2番手はGreen BayがPittsburghの上に来ている。またSeattleはやはり全体30位。Playoffチームの中でSeattleの次に酷いのがKansas City(18位)であるあたりもDVOAと似ている。得失点差がベースにあるSRSと、プレイごとの結果平均値を取っているDVOAがそれなりに似通った結果になるのはある意味面白い。
一方、結構違う印象があるのはAdvanced NFL StatsのGWP"
http://www.advancednflstats.com/2011/01/2010-team-efficiency-rankings-final.html"。トップにいきなりSan Diegoが出てくるほか、DVOAでは9位、SRSでは12位だったGiantsがGWPでは5位に入っているし、DVOAでは10位以内、SRSでも11位以内に顔を出しているNew OrleansとAtlantaがGWPでは20位と21位に低迷している。Seattleが29位なのはいいとしても、NFCでトップ及び2番目の勝率を誇るチームをこれだけ下位にしているのは珍しい。
GWPもプレイごとの結果を積み上げている点ではDVOAと同じだが、ベースとなっているWPはDVOAと違って最終的には勝ったか負けたかしか問題にしない指標である。1点差でも50点差でも、勝者には0.5のプラスしか、敗者には0.5のマイナスしか与えられない。実際、同サイトの主催者自身「将来のプレイを予測することや、選手やチームの能力を測るのには適していない」"
http://www.advancednflstats.com/2010/01/win-probability-added-wpa-explained.html"と認めている。DVOAが将来予測の精度を高める方に力を入れているのとは方向性が違う。
チームの実力を測るうえでは得点差は無視できないだろう。7点差なら幸運で勝った可能性もあるが、28点差をつけたチームが単なる幸運だけで勝った確率はかなり低い。むしろ実力を測るなら得点能力を示すEPAを使うべきかもしれない。という訳で同サイトにあるAdvanced Team Stats"
http://wp.advancednflstats.com/teampage.php"を使ってオフェンス及びディフェンスのEPAを組み合わせたランキングを調べてみた。
それでも相変わらずトップはぶっちぎりでSan Diegoになってしまうのだが、少なくともNew Orleansは5位に、Atlantaは8位にランクアップする。Seattle以外のPlayoffチームで最も成績が悪いのはKansas City、ではなくJetsになるのだが、その順位は15位となり全体で上位半分に入ってくる。こちらの方が一般的な意味でのパワーランキングとしては違和感は少ないだろう。
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