NFL第15週

 NFL第15週。先週「脳震盪は怖い」と書いたら今週はFavreが脳震盪で途中退場。連続先発試合記録が途絶えてもなお試合に出てきたのを見てちょっと見直したんだが、まさか脳震盪になるとは思ってもいなかった。実は何十年ぶりかのMinnesotaでの屋外試合が行われたTCF Bank Stadiumについては、試合前にMinnesotaのパンターが「フィールドはコンクリートのように硬い。誰であれ地面に頭をぶつけたヤツは脳震盪になりそうだ」とツイートしていた"http://nfl.fanhouse.com/2010/12/20/chris-kluwe-tcf-bank-stadium-turf-as-hard-as-concrete/"。この予想が不幸にも的中してしまった訳だ。
 そんな悪条件でもプレイしようと考えただけでもFavreを評価したくなる。要するに彼が批判されていたのは開幕直前までやるやらないと言を左右にすることでサマーキャンプをサポろうとしていたのが見透かされていたからであって、試合そのものに出たいという気持ちは今も昔も変わらないのだろう。もっとも、脳震盪まで起こしたとなるとこれはもう引退した方がいい。若い選手ならもっとやりたいと考えることもあり得るだろうがFavreはもう40過ぎ。もちろん最後は本人の決断(と医者の判断)次第だが、そろそろ引退後の生活を考えるべき時だろう。
 ちなみにFavreの後を継いでGreen BayのスターターとなったRodgersは医者のOKをもらって第16週の試合には出るつもりらしい。正直、先週も書いた通り、本人の健康を考えるなら今シーズンはもう休んだ方がいい気もするが、プレイオフを争うチームのエース(しかもまだ27歳)としては一刻も早く試合に復帰したいと考えるのは当然か。それに彼のいない状態で残り2試合(ホームでのGiantsとChicago戦)を乗り切れるかというと、そりゃ厳しい。正直、Flynnのままだとプレイオフは無理だと私は思っていた。Rodgersが復帰すればGreen Bayがプレイオフにたどり着く芽も出てくる。
 
 New Englandは相変わらず「初物に弱い」ところを見せ、Flynnに3つのTDパスを喫した。それでも最後のドライブを止めたあたりはディフェンスにも成長のあとが見られるってことか。Football OutsidersのDVOA"http://www.footballoutsiders.com/dvoa-ratings/2010/week-15-dvoa-ratings"を見ても、先週27位だったディフェンスが24位までランクを上げている。まあこれはDVOAが先発QBの変更を認識しないシステムになっているせいもあるんだが、それでもディフェンスが前よりはマシになっているのは事実だろう。
 もっともディフェンスが比較的マシに見える最大の理由はtake awayのおかげ、というかほとんどそれだけ。Football OutsidersのDrive Stats"http://www.footballoutsiders.com/stats/drivestats"を見ると、New Englandのディフェンスはドライブあたりのturn overとinterceptでリーグトップになっている一方、ヤードや失点、TD数、パント数などでは下位に低迷していることが分かる。ビッグプレイをやってのける能力はあるが、ビッグプレイを除くと全然止まらないディフェンスだとも言える。要するに「一か八か」なディフェンス。単純に見ているだけなら楽しいかもしれない。
 オフェンスは、あまりそうは見えなかったかもしれないが引き続き好調、のようだ。強力なディフェンスを誇るGreen Bay相手に20分未満の攻撃時間で24点入れたんだから文句はないだろう。幸運もあったとはいえ未だにgive awayのない試合が続いているし、Football OutsidersによればオフェンスDVOAはこれで6試合連続40%超。そして第15週の時点でとうとう2007年のオフェンスDVOAすら超えてしまったんだそうだ。正直信じられない気分ではあるが、今年のNew Englandオフェンスが常軌を逸した強さであることは否定できないだろう。
 Bradyの今週のDYARは全体15位と地味な水準"http://www.footballoutsiders.com/quick-reads/2010/quick-reads-week-15"。ただし相手のFlynnは22位ともっと下だ。New EnglandだけでなくGreen Bayもオフェンス開始ポジションにかなり恵まれていたし、何より弱体ディフェンス相手だったことを割り引く必要があるんだろう。今週DYARが高かったのは、圧倒的な強さを見せつけたRivers、奇跡の逆転を演じたVick、アウェイでまさかの勝利を収めたStantonなど。逆に最も悪かったのは途中で引っ込められたHasselbeckだ。そろそろ彼のSeattleでのキャリアも終わるかもしれん。
 
 残り2週となり、プレイオフの行方も次第に見えてきた。Football OutsidersのPlayoff Odds"http://www.footballoutsiders.com/stats/playoffodds"で見るとAFCではNew Englandの1位シードがほぼ確定。2位もPittsburghの可能性が高そうだ。3位はKansas CityとSan Diegoが、4位はIndianapolisとJacksonvilleが争う格好。5位はJets、6位はBaltimoreの確率が高くなっているが、Baltimoreの残り2試合(@ ClevelandとCincinnati)を考えると逆の可能性が高いように思える。
 NFCでは1位シードはほぼAtlantaのもの。残り2試合がホームってのも大きい。2位はPhiladelphiaの方が確率が高く、Chicagoは3位予想となっている。個人的には同感だが、ただ勝敗が同じだとChicagoの方が上にいく点は注意すべきだろう。4位についてはSeattle、San Francisco、St.Louisの争いと見ているようだが、現時点で暫定首位のSt.Louisの評価が低いのが驚き。最終週のSeattle戦がアウェイのためかもしれない。Wild CardはNew Orleansはほぼ決まりだとして、GiantsとGreen Bayでは必ずしもGiantsが有利とは言い切れないように思う。何しろ直接対決はGreen Bayのホームになるのだし。
 そして、ここに来て声が大きくなっているのが、負け越しチームがプレイオフに出ていいのかという疑問。NBAなどでは珍しくもない現象だが、NFLではストライキシーズンを除いてそうした事例は記憶にない。せいぜい2008年にSan Diegoが8勝8敗でプレイオフに出た程度。今シーズンは3分の2程度の確率で7勝9敗チームがプレイオフにたどり着いてしまうらしい。もちろんたどり着いたところで初戦New Orleansにこてんぱんにやられるだけだろうけど、そんなチームがホームでの試合開催権を得るのはいかがなものかという意見は分からなくもない。
 でも、今シーズンはもう間に合わない。だとしたら今回の事態を受けてルールを変える意味はどのくらいあるんだろうか。今後もこうした現象が頻発するのなら、確かにルール変更にも意味はある。だが8地区制になって9年目に初めて発生した事象が、今後も何度も起きるかどうかと言われると疑問だ。10年に1回程度の事態でも対応策を打っておくべきだとの意見はあるだろうが、10年に1度程度なら面白がって目を瞑る手だってある。さて、オーナーたちはどんな判断を下すのか。
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