NFL第14週及びANY/A

 NFL第14週。もう大抵のことでは驚くまいと思っていたんだが、メトロドームの屋根崩壊"http://nfl.fanhouse.com/2010/12/12/video-metrodome-roof-collapses/"には愕然とした。確かにMinnesotaがなりふり構わぬ強化に走っていたのはスタジアムの建て替えを地元自治体に促すためだと言われてはいたが、まさかここまでボロくなっていたとは。今週はDetroitに舞台を移してしのいだが、Minnesotaは第15週もホームの予定。一体どうするんだ。
 一方、NFL.comではBreaking Newsまで流していたものの実際には驚きでも何でもなかったのがFavreの連続試合先発終了。今週は出られないという報道は前からあったし、想定の範囲内ってやつだろう。これで引退という話も広まっているが、個人的にはここまで来たらいっそ来年も戻ってきてファンを唖然とさせてほしいもの。連続記録が途絶えても先発の座を失ってもなお現役にこだわるくらいの執念を持っている選手なら、むしろ評価する。
 DVOA"http://www.footballoutsiders.com/dvoa-ratings/2010/week-14-dvoa-ratings"ではNew Englandは引き続きオフェンス1位、ディフェンス27位とアンバランスなまま。ただWeighted DVOAで見るとディフェンス成績は25位と多少は上向く。もちろん今週の相手もChicagoという二流オフェンスチームだったことは確かなんだが、多少は改善しているのかもしれない。Quick Reads"http://www.footballoutsiders.com/quick-reads/2010/week-14-quick-reads"では今週もBradyがトップと、現時点では絶好調だ。雪が降ると負けないという伝統は維持している。
 
 さて、NFLでは得点との相関が高いのはパス関連の指標、特にQBレーティングであることは前に説明した"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/51158955.html"。1932-2009までの78年間における年ごとのチームQBレーティングとチーム得点との相関性は平均で0.783(標準偏差0.077)。ラン関連の指標はもとより、パス関連の中でも相関性の高い平均パス獲得ヤード(0.735と0.104)より高く安定した相関性を持っている。
 他にはFootball Outsiders"http://www.footballoutsiders.com/"のDVOAという指標があり、こちらは勝敗との相関で得失点差に次いで高い数値を示しているという(Football Outsiders Almanac 2010, ix)。ただし、DVOAの計算はPlay by Play全てを分析しなければならないため、第三者が簡単に取り組むことができる指標とはならない。野球におけるOPSのように誰でもすぐ計算できるものではないのだ。使い勝手の良さという点ではQBレーティングの方が上になる。
 アメフト関連のデータギークなサイトといえばPro Football Reference"http://www.pro-football-reference.com/"もある。こちらはむしろオーソドックスなデータを大量に溜め込んでいるのが特徴のサイトだが、同サイトで使われているパス関連の指標としてAY/AやANY/Aというものがある"http://www.pro-football-reference.com/about/glossary.htm"。元はThe Hidden Game of Footballという本の中で使われていた指標を修正したものだが、これがなかなか興味深い指標だったので少し詳しく紹介して見よう。
 
 AY/A、つまりadjusted yards per passing attemptの計算は(パスヤード+TD数×20-Int数×45)をパス試投数で割ったものだ。通常のYPA、つまり平均パス獲得ヤードの分子を修正し、TD1回をプラス20ヤード、Int1回をマイナス45ヤード相当と見なして計算した指標である。ANY/AはAY/Aの分子から被サックヤードを差し引き、分母に被サック数を足したもの。サックを含んだデータで同サイトではadjusted net yards per passing attemptと呼んでいる。
 QBレーティングに比べれば計算法は圧倒的に簡単。問題はこの指標がどの程度、得点との相関性を持っているかだ。YPAもTD率も得点との相関は高いものの、Int率は得点との相関は低い。この3者を組み合わせるやり方がどのくらい効果があるのか、実際に過去のデータで調べて見た。
 結果は予想以上。1932-2009年までを対象にしたチームAY/Aとチーム得点との相関は平均で0.782、標準偏差は0.075だ。上に載せたQBレーティングに比べて平均相関は僅かに劣っているものの、ほぼ同水準。標準偏差はむしろ小さく、安定して高い相関を示している。ANY/Aになるとさらに凄く、1949-2009年までで相関性の平均は0.811と0.8を超える。サックを含んだレーティングの方が0.798なので、こちらは明白にANY/Aの方が上。標準偏差はANY/Aもサック含むレーティングも0.066と同じだ。
 計算法が簡単なことまで含めるならAY/AやANY/Aの方が扱い易いのは間違いない。確かにQBレーティングは各種サイトに載っているし、入手は難しくない。ただ、サック含むレーティングのように多少加工したデータがほしくなると、面倒な計算をしなければならない。また通常のレーティングは小数点1桁までしか載っていないが、より詳しい数値が知りたくなればやはり自前で計算するしかない。excelに計算式を入れるだけじゃないかとの指摘もあろうが、うっかり間違えた式を入れてしまえば全部がお釈迦になる。AY/Aや、より得点との相関性が高いANY/Aを使った方が安心だ。
 とはいえ、見慣れない数字だけに感覚が掴みにくいことも確か。少しは感触を掴むため、2000年から2009年までのリーグ全体のANY/Aの推移を記して見る。
 
year ANY/A
2000 5.21
2001 5.19
2002 5.35
2003 5.20
2004 5.63
2005 5.34
2006 5.38
2007 5.52
2008 5.70
2009 5.65
 
 当たり前のことだが、通常のYPAに比べれば短め(Int数によるマイナスが効いている)。また数値が右肩上がりの傾向にあることは、前にFootball Outsidersの指標を使って調べた「最近のQB成績のインフレ傾向」"http://blogs.yahoo.co.jp/desaixjp/50209081.html"とも平仄が合う。
 ANY/Aのキャリア成績(2099年まで)を調べるとRomo(7.20)やRivers(7.15)はManning兄(7.10)を上回っている。QBレーティングだとRivers(95.8)がRomo(95.6)より上に来るといった微妙な違いはあるが、Manning兄(95.2)はやはりこの両者を下回っている。つまり、微妙な順位の変化は生じるものの、大きな傾向はレーティングとそれほど変わらないってことだ。
 
 ついでにもう一つ、Football Referenceが紹介しているSRS(Simple Ranking System)"http://www.pro-football-reference.com/blog/?p=37"にも触れておこう。こちらはチーム力を簡単に算出する方法で、基本的に得失点差のみで計算する。1試合ごとの得失点差を調べなければならないため決して楽な計算方法とはいえないが、要するに相手の強さに応じて得失点差を調整する方法だと考えればいい。
 対戦相手による修正を加えて実力を測るのはDVOAと同じ考え方。ただ、両者の間にはずれもある。トップ10チームのうち8チームが共通という程度の微妙なずれだが、例えばTampa BayやSan Franciscoなどはそれぞれの指標で順位が6つほどもずれる。現時点の成績上位チームで評価が変わるのはGreen BayとAtlantaだろう。SRSではGBが2位、Atlが4位になるが、DVOAでは7位と8位。どちらの指標を取るかによってNFCの状況は違って見えることだろう。
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