祖国は危機にあり(La patrie en danger) 関連blog
ワッティニーの戦い 5
2022
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09
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29
ナポレオニック
前回は連合軍によるモブージュ包囲に対し、北方軍司令官ジュールダンが命じた解囲軍の編成について述べた。DupuisのLa campagne de 1793 à l'armée du Nord et des Ardennesによると、彼の最初の命令に合わせ、10月10日までにはギーズ周辺にフロマンタン、デュケノワ、バラン、キャリオンの各師団が集まり、11日にフルミーに到着したアルデンヌ方面軍のボールガール師団もこれに加わった。この集結をカバーする役割を担ったのは...
NFL22 week3
2022
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09
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28
NFL
NFLは第3週が終了。今週も怪我人が出ている。PatriotsのJonesは捻挫により、しばらく試合に出られない模様。検査結果次第ではIR入りもあり得るという。ゲームでは3インターセプトを食らったうえにこの結果であり、チームにとっては踏んだり蹴ったりだろう。今シーズンのPatriotsはここまでオフェンスにはコーチングの不安を抱え、ディフェンスは凡庸と苦労しているようだが、この分だと先行きはもっと厳しくなりそうだ。 ゲー...
ワッティニーの戦い 4
2022
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09
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27
ナポレオニック
モブージュに閉じ込められたフランス軍は非常に消極的だったそうだ。DupuisはLa campagne de 1793 à l'armée du Nord et des Ardennesの中で、その原因が将軍と兵の双方にあったと指摘している。派遣議員のドルーエも10月1日、救出の希望を失った軍が恐怖に捕らわれていたと記している。彼はさらに、兵たちに希望を持たせるため竜騎兵たった100騎でモブージュから出撃し、運よく敵から逃げられたならパリに向かってモブージュの...
兵站方程式
2022
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09
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26
ウクライナ戦争
ウクライナ戦争では改めて兵站の重要性がクローズアップされる場面が増えている。もちろん昔から兵站の重要性は何度も語られているのだが、兵站を軽視しているらしいロシア軍が国力の差からは信じられないレベルのもたつきを見せているおかげで、改めて兵站を語る動きが広まっているようだ。 典型例がこちらの記事。いきなり三国志時代の官渡の戦いやチンギスハンの兵站、アレクサンドロス大王や古代ローマの事例といった古い時...
ワッティニーの戦い 3
2022
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09
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24
ナポレオニック
連合軍のモブージュ包囲網が完成したのは、DupuisのLa campagne de 1793 à l'armée du Nord et des Ardennesによると10月5日だった。引き続きTopographic map of France (1836)参照を。彼らは攻囲軍と監視軍の2つに分けられた。サンブル右岸でモブージュの包囲に当たったのは、コロレード指揮下の歩兵16個大隊と10個中隊、帝国騎兵8個大隊の計1万4000人。彼らはフォレスト農場(オーモン南東)からボーフォールの森、フェリ...
動員と住民投票
2022
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09
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23
ウクライナ戦争
ハルキウでの大敗北を受け、クレムリンに動きが出ている。1つは30万人の兵力動員だ。ウクライナに侵攻したロシア軍が兵力不足に陥っているという話は以前から言われていたが、ハルキウではあっさり戦線が崩壊し後方の部隊までパニックに陥って壊走するといった事態に陥ったのを見て、さすがに今のやり方では持たないと判断したのかもしれない。実は少し前にクレムリンはロシア全土での大掛かりな徴兵キャンペーンを展開しており...
NFL22 week2
2022
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09
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22
NFL
NFLは第2週が終了。今週もまずは怪我人の動向から、と考えていたのだが、大本営の報道で真っ先に出てきたのは怪我ではなく喧嘩のせいで退場を食らったBuccaneersのEvansとSaintsのLattimoreの2人だ。うちEvansは1試合の出場停止となった。さらに早速2017年にも同じSaints相手に同じくLattimoreを巻き込んだ喧嘩によってEvansが出場停止を食らっていた話も発掘されていたのだが、この選手移動の激しい時代に2人とも同じチーム...
ワッティニーの戦い 2
2022
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09
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21
ナポレオニック
ワッティニーの戦いについてDupuisのLa campagne de 1793 à l'armée du Nord et des Ardennesを基にした話の続き。引き続きTopographic map of France (1836)と巻末の地図を参照願いたい。連合軍がモブージュ包囲のためにサンブルを渡ったのは9月29日夜明けだった。攻撃は3つの縦隊で行われ、それぞれクレルフェ、ホディッツ、コロレードが指揮を執っていた。 クレルフェが指揮した連合軍右翼は2つの縦隊でサンブルを渡った...
ワッティニーの戦い 1
2022
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09
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19
ナポレオニック
以前オスコットの戦いについてまとめたことがある。フランス軍はこの戦いで戦術的な勝利を得たものの、その勝利を大きな成果に結びつけることはできなかった。フランス軍の攻勢はすぐ頓挫し、指揮を執ったウシャールは断頭台送りとなっている。1792年の危機はまだ終わらず、フランスは恐怖政治を一段と強化する方向で対処を進めた。 一方、同年10月に行われたワッティニーの戦いは、オスコットに比べると素直に勝利と見なされる...
メディアツイート
2022
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09
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17
その他
こちらの記事が興味深かったので取り上げてみよう。メディアのツイートを使って「共感という社会的政治的なリソースをメディアが不平等に分配しており、そうした共感格差がポピュリストに利用されている」という内容の記事だ。かなり関心を集めていたし、一般的な反応はこちらからも分かる通り、割と納得して読んでいる人が多いように思えるんだが、さてここに書かれているデータの解釈はどのくらい適切だと考えればいいんだろう...
NFL22 week1
2022
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09
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15
NFL
NFLは第1週が終了。まずは17分の1が終わったところなのでまだ一喜一憂するのは早すぎるのだが、そうせざるを得ないチームもある。重要な選手が負傷したチームだ。 まずは先発QBが負傷したCowboys。Prescottは親指の怪我で4ー6週間の欠場が見込まれるもようだ。彼はリーグでもどちらかと言えば上位に位置するQBであり、彼が負傷でほとんどゲームに出られなかった2020シーズンのCowboysは大幅負け越しだった。一応、IR入りは...
南部の戦争
2022
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09
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14
ウクライナ戦争
相変わらず動きが激しいウクライナでの戦争。本当は「兵站方程式」みたいなものを提案している論文でも紹介しようかと考えていたのだが、その前に足元の状況をまずきちんと把握しておいた方がよさそうに思える。というわけで今回もSNS関連の情報が多いので決して信頼度が高いわけではない話が混じってくると思う。 まずは派手なハルキウ攻勢、のおかげでここしばらく陰に隠れていた格好のヘルソン攻勢について。ISWも11日時点の...
ケレルマン突撃
2022
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09
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13
ナポレオニック
「ワーテルロー・インダストリー」が今月も紹介されているナポレオン漫画最新号。ブラウンシュヴァイク公が出てくるかと思っていたら、そっちではなく登場したのはピクトン。まあどっちにしても最後は×ぬからあまり違いはない(暴言)。というわけで今回も漫画を横目で見ながら史実がどうだったか確認しておこう。 前半に出てきたデルロン第1軍団の彷徨について、漫画で採用されているのはこちらとこちらで紹介した「ネイの命...
21世紀の電撃戦
2022
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09
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12
ウクライナ戦争
今回はSNS発の情報が多いため、信頼度は玉石混淆だと思ってほしい。 ウクライナ情勢があまりにも急激に動いている。9月6日にハルキウ方面のバラクリヤでも反攻が始まったのだが、それからたった4日後の10日にはロシア国防省がクピヤンスクとイジュームからの「転進」を発表するに至り、ドンバスの北方にあったロシア側の大きな拠点はあっさりと崩壊した。直近ではオスキル川の防衛線を除きハルキウ州全域をほぼ放棄した状態...
NFL22 開幕戦
2022
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09
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11
NFL
NFLの2022シーズンが始まった。開幕試合となったのはBills @ Rams。正直、ウクライナの件などもあってあまり戦力分析を詳しくやっているわけではないのだが、ざっと見て実力はBillsが上。ただ場所がRamsのホームであり、またシーズン序盤のMcVayオフェンスはかなりの破壊力を持っている(終盤はしょぼくなる)ことも考えるなら、かなりいい試合展開になるんじゃないかと思っていた。実際、オッズはBillsの-1.5だったようで、その...
歴史論争
2022
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09
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09
その他
エリート過剰生産のエントリーが話題になっていたNoah Smithだが、同時期にもう一つ読まれていたエントリーがあった。On the wisdom of the historiansというヤツで、思い切り雑にまとめるなら歴史家はもっと予測可能な仮説を作って提示する努力をしろ、と求めた内容になる。歴史家はしばしば現在の問題に対して過去の事例を紹介するが、それは予測に役立つような理論になっていない。だったらもっともらしく事例を紹介などする...
弱点叩き
2022
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09
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08
ウクライナ戦争
ウクライナ軍の反転攻勢について、ウクライナ側がはっきりと「ロシアの戦力と兵站を悪化させるのを意図した体系的な作戦だ」と述べたらしい。こちらで紹介したように、兵站面でロシアに不利な場所を選んでそういう戦い方をしているのは、どうやら間違いないと考えてよさそうだ。実際、こちらのツイートにまとめられている地図でも、ロシアの弾薬集積所が広範囲で狙われているのは確かなようだ。そしてSNSのミリタリーアカウント...
エリートの苦境
2022
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09
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07
その他
エリート過剰生産に関するNoah Smithのエントリーに対し、Turchinが反応している。まずはこちらの一連のツイートで、エントリーに関する色々な感想を述べている。 最初は反論だ。TurchinはSmithが「エリート過剰生産について供給側だけに注目している」と指摘している点について、もちろん需要側も見ていると否定。あくまで供給が需要を上回った時にエリート過剰生産が起きるとしている。だが正直この反論は焦点がズレている、...
経済制裁の効果
2022
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09
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06
ウクライナ戦争
ロシアに対する経済制裁は思ったほど効いていないという話がいくつか出ている。見出しの中に「想定より持ちこたえるロシア経済」とか、「経済破綻を回避したロシア」、「対ロ制裁は効いているのか?」といった文言が見られる記事がその一例。もちろんこれらの記事中には効果を上げている面についての言及もあるのだが、期待外れと思っている人がいることを窺わせる書き方になっているのは否定できない。 Noah Smithがアップして...
18世紀 西アフリカ
2022
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09
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05
火薬・軍事革命
西アフリカへの欧州からの銃輸出についての文献を2つ読んだ。InikoriのThe Import of Firearms into West Africa 1750-1807と、RichardsのThe Import of Firearms into West Africa in the Eighteenth Centuryだ。どちらも題名にある通り、主に18世紀の状況を調べている。以前紹介した黄金海岸や奴隷海岸の火器史でも述べたように、既に17世紀から西アフリカへの火器輸出は急増しており、18世紀は取引が高水準で続いていた時期...
農業の故地 4
2022
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09
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03
その他
以前、稲作の故地は長江下流もしくは中流域だとの話を紹介した。特に...
兵站シミュレーション
2022
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09
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02
ウクライナ戦争
ウクライナ軍がヘルソンに向けて反撃を始めたとの報道がある。4つの村を解放したという話も出てきている一方、激しい戦闘が長引く可能性があるという指摘も。どうも詳しいことが分かるまでに時間がかかりそうだが、なぜかロシア側の傀儡とされる人物がロシア領ヴォロネジから「ヘルソンは決してウクライナに屈しない」という動画を流している、という話は広まっている。 ウクライナが攻勢を始めた当日のISWの記事は、ロシア側...
人文系の衰退
2022
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09
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01
その他
Noah Smithのblogで最近またエリート過剰生産の話が載っていた。彼がTurchinらのエリート過剰生産について評価しているらしいことは以前にも書いたし、The Elite Overproduction Hypothesisと題したこのエントリーでも「エリート過剰生産仮説は魅力的だ」と述べている。彼は21世紀に入って、特に2010年代の後半以降に米国が大きなトラブルに陥った要因として、中でも特に左翼思想の拡大について、エリート過剰生産の観点から説明...
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desaixjp
「祖国は危機にあり」へのリンクはこちら
「終わりと始まり ―火薬革命の900年―」
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