祖国は危機にあり(La patrie en danger) 関連blog
バイレン まとめ
2015
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07
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30
ナポレオニック
長々と書いてきたバイレンの話も終わりだ。最後に敗因について思いついたことを書くことにする。 最大の敗因がナポレオンの政治と戦略にあることは否定できない。そもそも彼の無茶な政策がなければスペインは敵ではなく同盟国のままだっただろう。デュポンがアンダルシアへ遠征する必要も、そこでスペイン軍相手に戦う必要もなかった。またスペイン相手に戦争するうえでナポレオンが投入した兵力はこの時点であまりにも少なすぎ...
バイレン その後
2015
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07
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28
ナポレオニック
バイレンの戦いが行われた19日の午前1時半頃、ラ=カロリーナにいるヴェデル将軍のところにデュフール将軍の部隊が合流した("https://archive.org/details/legnraldupontune02tite" p491)。サンタ=エレナから11キロメートルの距離を夜間に歩いてきたので、おそらく4時間強を要したと見られる。つまりデュフールがサンタ=エレナを出発したのは18日の午後9時くらいだ。 ヴェデルは前日にデュフール宛に記した命...
バイレンの戦い
2015
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26
ナポレオニック
1808年7月19日午前2時半、バイレン西方、ルンブラル川にかかる橋を渡ったところで、デュポンの前衛部隊はスペイン軍と接触し交戦を始めた。長々と描いてきたバイレン戦役のクライマックス、バイレンの戦いがここから始まる。 ……と書いてみたものの、実際には「バイレンの戦い」そのものはバイレン戦役のクライマックスとは言いがたい。何しろ実際にはこの戦いが始まる前の時点で、戦況はかなりフランス軍の劣勢になっていたか...
バイレン 決戦前
2015
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07
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24
ナポレオニック
アンドゥハル撤収を決断したデュポンは、グアダルキビル川にかかる橋にバリケードを設置し、スペイン軍がそこを渡る際に時間がかかるようにした。爆発音でスペイン側に気づかれたくなかたっために橋の破壊は見送ったという。実際、カスタニョスがフランス軍の出発を知ったのはようやく19日の午前2時であり、駆けつけた農民の知らせによって初めて正面の敵が姿を消したことに気づいたという("https://archive.org/details/...
バイレン 撤収
2015
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22
ナポレオニック
デュフールが17日の日中に書いた報告書(つまり後にでっち上げられたものではなく、本当に17日に書かれたもの)を同封したヴェデルの午後10時半の報告は、おそらく17日深夜までにはグアロマンを発しアンドゥハルへと送られた。同じ17日夜、デュポンは1つの動きを示している。彼は2個大隊の分遣隊をバイレンに向けて派出したのだ("https://archive.org/details/legnraldupontune02tite" p447)。 ヴェデルがバイレ...
革命戦争史7巻
2015
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ナポレオニック
バイレンの話はまたお休み。 JominiのHistoire critique et militaire des guerres de la Révolution, Tome Septième."http://books.google.com/books?id=lp5TAAAAcAAJ"の翻訳終了。6巻の翻訳を終えた時には、今年の秋ごろまでかかるかもしれないと思っていたので、予想よりは早く終わった格好だ。続く8巻のページ数も結構あるのだが、同様のペースで行けば来春には翻訳が終わるかもしれない。 もう1つ...
バイレン 真偽
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ナポレオニック
デュフールとヴェデル、それぞれの報告書が矛盾しているのは、おそらくどちらかが嘘を書いているためだ。どちらが正しいかをはっきり裏付けるソースがあるわけではない。しかし、常識に基づいて想像力を働かせれば、どちらが嘘つきであるかを見分けることは、決して不可能ではない。 多分、デュフールの「報告書」は17日に書かれたものではない。もっと後、バイレンの決着がつき、この戦いの失敗について責任が問われることが明...
バイレン 報告書
2015
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ナポレオニック
17日午後4時、バイレンにいたヴェデルはグアロマンへの行軍を始めた。その際、まず先行を命じられたのは第1旅団指揮官のポアンソ将軍だった。Titeuxによると「この将軍はこの移動の妥当性について見解を述べたが、無駄であった。ポアンソ将軍曰く『私は彼[ヴェデル]のところに駆けつけ、やろうとしているのが間違った行軍であると述べた』」。彼だけでなく、親衛水兵のバスト将軍、及び第2師団の参謀長であったラリューも、...
CFAなど
2015
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07
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NFL
バイレンの話が異様に長くなっているので、少し別の話題を書いて一息入れるとしよう。 NFLのスタッツ関連で一つ面白いサイト"http://intentionalrounding.com/"を発見。統計手法を活用してかなりマニアックな分析をしているものだ。 中でも興味深いのはこちら"http://intentionalrounding.com/when-does-passer-rating-stabilize/"。このサイトだけでなく、こちら"http://outsidethehashes.com/?p=13...
バイレン 停滞
2015
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ナポレオニック
ヴェデルがバイレンからグアロマンへ向かうという連絡は17日の夕方にデュポンの下に届いた。これを受け、デュポンはすぐにアンドゥハルを引き揚げるべきだったという指摘がある。ラ・マンチャへの連絡線上の大事な拠点であるバイレンががら空きになるのだから、もはやアンドゥハルで持ちこたえるのは難しい。それに17日夕方の時点で引き揚げれば、まだスペイン軍に先んじてバイレンを確保することができたかもしれない。 そう主...
バイレン 上官の追認
2015
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07
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10
ナポレオニック
そういえばナポレオン漫画最新号で、バイレンを含むデュポンのアンダルシア遠征が12ページほど描かれていた。短すぎて詳細は分からないが、「台詞だけで終了」にならなかったのはよかった。 閑話休題。17日のバイレンにおけるヴェデルの判断は、フランス軍の敗北に直結する重大なミスだった。ここで彼がバイレンから去ってしまったことが、後にデュポン直率部隊の孤立と降伏を招く。そしてこの判断ミスにはデュフールとヴェデル...
バイレン 部下の判断
2015
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07
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08
ナポレオニック
前回説明したグアロマンへ後退するというデュフールの判断を手厳しく非難しているのがTiteuxだ。彼に言わせればグアロマンには既に負傷したゴベールを護送した1個大隊がいた。またラ=カロリーナとサンタ=エレナにもゴベール師団の部隊が残されており、デュポンの命令によって後方から進んできた部隊によって増援されていた。従ってラ・マンチャへの連絡線は充分に守られていた。一方、レディンクはメンヒバルへと後退しており...
バイレン 迂回懸念
2015
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06
ナポレオニック
ヴェデル将軍を再びバイレンに差し向けると同時に、デュポンはデュフール将軍にも16日夕に命令を送付した。バイレン前面に陣を敷きメンヒバル方面へ対応できるようにしていたデュフールに対し、もしそこを保持できない場合は「第2師団[ヴェデル]と合流するためアンドゥハル街道へ、もしくは状況に応じてグアロマンへ後退してもいい」("https://archive.org/details/legnraldupontune02tite" p436)とデュポンは指...
バイレン 選択肢
2015
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04
ナポレオニック
16日のデュポンの決断は何が問題だったのか。フォワが分かりやすくまとめている。彼はまず、1万2000人のフランス軍が1ヶ所に集結していれば、訓練を受けず規律に欠けるスペイン軍4万人を打ち破るのに充分だと指摘。「必要なのはカスタニョスの兵と農民たちを壊滅させるため彼ら[フランス兵]をグアダルキビルの対岸で使うか、あるいは峠を守るためシエラモレナで使用するかだ」("https://books.google.co.jp/books?id=...
バイレン 多勢に無勢
2015
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02
ナポレオニック
ヴェデルがアンドゥハルに到着したところまで説明したが、彼の到着前にアンドゥハルで何が起きていたかを説明しておこう。前日、アンドゥハルに対する牽制として砲撃だけ行ったカスタニョスだが、この日も午前3時から砲撃を再開。さらにグアダルキビルの平野にいくつかの縦隊を送り出し、橋頭堡を攻撃するかのような格好を見せた。スペイン側の基本計画に従い、敵を牽制するための示威行動を真面目に実行していたわけだ。 加え...
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「終わりと始まり ―火薬革命の900年―」
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